【読書メモ 09】とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法

読書メモ9冊目は、チャーリー・ティエン著「とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法」です。

割と最近発売された本でTwitterでもつぶやいている人が多かったと記憶しています。私も発売当時読んだのですが、最近久しぶりに読んでみたのですが、2度目でもしっかり勉強になる良い本でした。

投資の良本は、海外の書籍を和訳したものが多く、そのせいで取っ付きにくい文章になっていることが多いのですが、この本はそんなこともありません。

内容のわかりやすさと相まって、すいすいと読める本だと思います。

本の概要

概要は、本のタイトルのとおりです。とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法が書いてあります。

ウォーレン・バフェットやピーター・リンチと言った超有名な投資家の考え方を紹介するとともに、「ほどよい価格」で買うことの大切さ(安い価格ではなくほどよい価格)を述べています。

・良い会社を見つけるための考え方
・投資してはいけない企業の見分け方
・ほどよい価格で買うための投資指標

など幅広い内容をぎゅっとまとめた1冊になっており、投資初心者に向いている本ではないでしょうか。

参考になった点

ディープバリュー投資の問題点

グレアムに代表される投資方法であるディープバリュー投資について、大きく2点述べています。

・条件を満たす銘柄が十分にない
格安銘柄を狙うディープバリュー投資では、かなり厳しい投資基準を課すことが多いため、条件に合致する銘柄を下がることが困難です。
日本株も2018年現在好調な地合いを保っており、価格面だけを見た単純な割安銘柄はかなり少なくなっています。

もちろん割安銘柄が登場するまでじっくり待てる人にとっては、エッジの利いた良い手法になり得ますが、多くの人はそこまで我慢強くなく、機会損失としてストレスを感じるのではないでしょうか。

・売却のタイミングが難しい
ディープバリュー投資では、格安な銘柄でポートフォリオを構成するため、業績が悪く将来的に企業価値が減少していく企業に投資してしまうことを避けることが難しいです。

そのため、分散投資が推奨されるわけですが、いざ企業価値が向上している企業ほど、価格が割安で放置される可能性は低く、ディープバリュー投資でのポートフォリオは、企業価値が減少していく企業で構成されやすくなってしまいます

そのため、長期的にポートフォリオの価値が減少していくため、株価が上がった際に適切に売却していく必要があり、そのタイミングは難しいと述べています。

私はこれまで、ディープバリュー投資は、割安で買ってその水準が訂正されるまで、ひたすら待つ長期投資というイメージでいたのですが、実は売却のタイミングが重要な投資で、どちらかというと短期投資に近い側面があるという点が新鮮でした。

優良企業に投資するのであれば高望みはしない

この本では、ピーターリンチの分類で言うところの『優良株』に投資することを推奨しています。
つまり、長期にわたって利益が10%以上成長しているような企業に投資することを推奨しています。

このような優良企業に投資することで安定したパフォーマンスを得られるということですが、パフォーマンスが最も良い株式は取り逃すということも意味しています。

パフォーマンスが最も良い株式は、利益が年数十%も成長している企業や、テーマ性の強い企業になることが多いため、安定した成長を見せる企業は投資家に利益はもたらしても、最大の利益はもたらすことは少ないと考えられます。

優良株に投資するのであれば、最大のパフォーマンスを得ることは割り切ってあきらめないといけないと述べています。

私の投資方針で言うところの成長株は、ここで言う優良株に近いため、最大のパフォーマンスは取れないということになります。その辺しっかりと理解しておけば、周りのパフォーマンスに右往左往しなくてすむかもしれませんね。
まあ、高パフォーマンスは素直にうらやましいです。少しでもパフォーマンスを上げるために、急成長株も少しポートフォリオに組み込んでいます。

DCF法について

DCF法は理論株価を算出するための手法の1つですが、心に残ったのは、その手法ではなく本の中で紹介されているケインズの言葉です。

正確に間違えるより、大まかに正しい方が良い

どんなに複雑なモデルを使って正確に計算をしたとしても、計算の前提が間違っていれば結果は大きく間違えてしまいます。逆に、前提が正しければ大まかに計算しても、正しい結果が出ます。

DCF法では企業の将来の成長性にいくつか仮定を置いて計算するわけですが、その仮定は常に間違えるリスクがあるため、精緻な計算を目指すよりも、その仮定の正しさを疑ったり、いくつか複数のシナリオに基づく仮定を考えてみたりということの方が重要ということを言っているのだと思います。

なぜ心に残ったかと言うと、投資の話だけではなく自分の本業にもそのまま当てはまるなーと感じたからです。

私の業務はバリバリの理系職種で、結構複雑な数理モデルに基づく計算をしています。
そうすると、モデルの正しさばかりが議論されることが多く、そのモデルを適用することが適切なのかどうか、どういう仮定置いた計算になっているのかどうか、と言う点はおざなりになりがちです。
本業でも気を付けないといけないと思った次第です。

まとめ

私が参考になった箇所をいくつか書きましたが、本書は有名な複数の投資家の考え方に触れることができ、広く知識を学ぶことができます。
投資初心者の方には本当におすすめできる本だと思います。

また、いくつかの投資法についてその良し悪しをわかりやすく書いてあるので、初心者以外の方にとっても有意義な内容になっているのではないでしょうか。